渡辺浩二設計室 のブログ

〒684-0033 鳥取県境港市上道町3256上道ビル6号 TEL/FAX : 0859-42-5357
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ホームページ内の 「家づくりの流れ」   (Click!)   でも触れていますが、弊社は原則、基本設計の最終工程として、計画案の模型を作り、クライアント様にご覧いただいています。


基本設計プランに建物高さの情報を加え、作成した模型 (縮尺50分の1) をご覧いただきながら、


・室内と外観のボリューム
・室内への光の入りかた
・外部からの室内の見えかた


などについて、確認と検討の打ち合わせをおこなうのですが、今回は、先日お渡しした模型をご紹介します。

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南側立面、この建物の正面です。


主要道である県道から、ひと区画奥まった位置にある敷地は、面積が500平米を超えるほどで、騒音もなく、通風や採光なども申し分ありません。充分な広さを確保した庭、家庭菜園やアプローチなどの外部空間と室内との間には、全面に屋根の架かったウッドデッキと玄関ポーチを設け、 「ウチとソト」 とを繋ぐ、緩衝地帯の役割を持たせています。


玄関の左手に駐車場、そしてその奥にはサービスヤードを設け、サービスヤードはさらにその奥の勝手口へと繋がります。


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建物正面からサービスヤード側に回り込んだ、西側の外観です。


上で書いたように、敷地南側 (この写真では、建物の右手) は庭や家庭菜園のほか、おそらく臨時の駐車場としても十二分に活用できるほどの広さなのですが、 建物の裏側となる敷地北側 (同左手) は、砂浜と港を介してあとは一面の日本海で、遠い先に霞んで見える水平線まで、海面が続きます。まさにオーシャンビュー、絶景です。


ただ、水平線から建物までの間を遮るものが何もないということは、海からの季節風は相当に強く、強風対策として、サービスヤード北側 (左側) の躯体は、高さを通常の平屋よりも大きく (高く) 取って、風除けと設備機器類と自動車への塩害対策の役割を強め、上部の 「余った」 スペースは、小屋裏収納と換気設備の点検スペースとする予定です。サービスヤードを囲む塀は風圧に負けないよう、コの字型平面になるよう組み、通用口も、塀が一体の構造となるよう、潜り戸としています。

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北側立面です。


海からの強風対策として、1階居室に面する開口部には雨戸を設け、大屋根の軒の出は最小限に留めています。ここからは余談ですが、建物中央に位置する、1階の引き違い窓は当初、掃き出し窓だったところを腰高に変更して、室内側の窓際にカウンターを設けることとなったのですが、その検討の際に出た、夏の夕暮れに水平線に沈みゆく夕陽を眺めながらカウンターでいただく、よく冷えたビールのお話には、少なからず心を揺さぶられました( ̄¬ ̄)


当日のクライアント様 (ご主人が環境行政、奥様は音楽のプロフェッショナル) との打ち合わせのなかでは、ヨーロッパでの住宅の断熱事情において、ドイツでの視察経験をお持ちのご主人から、室内の温熱環境について、なかでも断熱の仕様、建物内の季節ごとの空気の流れ、機械による換気と室内空気の循環など、かなり鋭いご質問を受け、その度にしどろもどろになりながらも 「この部分が・・」 と具体的な箇所をお示しして、なんとか説明の体を成すことができたのは模型があってこそで、また、猫との共生のための各室の区切り方についても、上下階の繋がり、あるいは開口部の更に上部の納まりを、立体を手に取ってイメージを共有しながら、お話を進めることができたようです。


詳細は別の機会に譲りますが、本計画は、既存建物の構造材の再利用や、工場プレカットをおこなわない、大工さんの手刻みによる構造体、太陽光発電に頼らない再生可能エネルギーの利用など、いわゆる 「従来型の家づくり」 とは幾分異なる括りで、現在鋭意進行中です。


大田市内の計画です。

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相当に暑い日が続いていますが、皆様お元気ですか?


断熱、というものが認知される前に建った弊社事務所は、日射 (これも電磁波の一種で、対象物が熱を帯びる原理は、電子レンジと同じなのだそうです) で焼けた屋根や外壁や窓からの輻射熱に対抗してエアコンの冷風が室内に注ぐのですが、それこそまさに焼け石に水を地でいっている状態で、暑いです。


それはともかく、近年の、災害を伴うほどの豪雨とその後の酷暑はもはや、 「未来に備えるために糧としてきた、これまでの経験の蓄積」 を丸呑みしてしまっているのではないかと門外漢の私が感じるほどの規模と強度で、被災された方、酷暑のなかで復旧作業、復興計画にあたられている方々の現在のご心労やご苦労は、私の想像などとても及びません。


けれども、たとえそうした 「丸呑みされた経験」 であっても、 (地震災害と地震対策のこれまでのように) その分だけさらに大きな糧にできるはずだと信じ、僅かずつでも希望の根を拡げていった先にある未来については、本当に僅かであるけれども私にも想像の橋を架ける、信じることができるかもしれません。


天気予報によると、近づいている台風の影響なのか、週末からしばらくは曇り空や雨模様となりそうな山陰地方は、日中の気温も一旦は落ち着くようです。


が、その後は、戻ってきた暑さがまた居座るようで、屋外で作業される方、室内の方、そして自身への警告を込めて、こまめな水分補給と適度な休憩の合わせ技で、引き続き皆様、どうぞご自愛ください。
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今年度の 「長期優良化住宅リフォーム推進事業」  (Click!)   の説明会に参加するため先月、広島市まで行ってきました。広島バスセンターから、修学旅行生と外国人観光客の方々のあいだをすり抜けるようにして平和公園を歩いて、会場である国際会議場には、ちょうど開始30分前の到着となりました。 隣接する平和記念資料館は、耐震改修の工事中でした。

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長期優良化住宅リフォーム推進事業とは、かいつまんで言えば、 「国は現在、長期優良住宅と同等のスペックを有するような、建物性能を向上させるリフォーム (改修) 工事を推し進めているので、そのような工事に対しては一定の補助をおこないます」 といった趣旨の事業で、補助は、工事内容に加えて、有資格者による事前調査 (インスペクション) と建物履歴の保存が前提となっています。以前のブログ  (Click!)  にてご紹介したように、この制度もまた、2006年制定の住生活基本法による 「住宅の、量から質への転換」 が、その背景にあります。


説明によると今年度は、


・1戸あたり最大で300万円の補助を受けることが可能となり、
・40歳未満の<中古住宅の取得者かつ建主さん>の場合は性能基準に関する規定が緩和され、
・居室一部屋の断熱改修工事も対象となる


など、間口が広がって、より多くの方に利用しやすい制度となるような諸変更がなされているようです。


このほか、住宅金融支援機構の融資制度である 「フラット35リノベ」 の紹介と説明もおこなわれて、この融資を利用して中古住宅を購入してかつ、性能を向上させるリフォーム工事をおこなった場合には、一定期間の金利優遇を受けることができるとのことで、試算によると、通常のフラット35に比べて、100万円を超える返済総額の差となるケースもでてくるようでした。


ひととおりの説明と質疑応答を経て定刻を迎え、あっという間の3時間だったのですが、帰りのバスまで、まだいくらか時間があります。そこで、せっかくだからと 「会議場発、バスセンター行き」 の進路から少し寄り道をして、旧市民球場の跡地に立ち寄ってみました。今回が解体後、はじめての訪問です。

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現在の球場跡地は、事前の調査 (!) によると、イベントなどが無い時には広場として一般開放されているはずだったのですが、着いてみると、週末の催し物に向けての設営中で、残念ながら中に入ることはできませんでした。 が、これまた事前調査で知った、一部が保存されているライトスタンド方面へ足を向け、ゲート越しに覗いてみると、

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お、ありました(^^)



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ライトスタンドといえば、1987年の日本シリーズで、山本浩二が東尾のスライダーを 「技あり」 のひと振りでスタンド最前列に運び、そこからさらに10年ほど遡った夏休みに巨人戦を観戦した場所で、そういえばあの夜リリーフ登板した大野投手の背番号は確かまだ24ではなかったなあ、などなど、こうして僅かでも残っていてくれるといろいろと思い出すものだと、しばらくの間ぼんやりとながめてから、帰路に戻りました。


跡地外周には記念碑が二つ残っていて、ひとつは歴代の優勝を記したもの、そしてもうひとつは衣笠祥雄さんの連続試合出場の世界記録達成を讃えたものです。道すがら、たしかこのあたりに記念碑があったよなあと、あまり気に留めずに通り過ぎたこの4日後に、まさか 「鉄人」 の訃報を知ることになるとは、このときは夢にも思いませんでした。


RIP・・・
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昨年秋より計画を進めていた、 「川沿いの白い家」 (米子市、2006年竣工)  (Click!)  の外構 (スクリーン) リニューアル工事が先日終わりました。


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スクリーンは、これまでの木製土台、柱、控え柱 (頬杖) に横格子を組んだものをいったん撤去し、あらたに鉄骨柱とアルミ製品の板材を組み合わせたものに作り直しました。 作り直しにあたって、今回は板材に幅広のものを用い、 「目透かし幅」 はこれまでよりも狭くして、区切った内部が通りから見えにくい、独立性を高める意匠・機能としています。


玄関先まで自動車で横付けできるよう、建物側3メートル分の既存基礎は解体撤去してスクリーンは設けず、専用通路としています。


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先月初めのブログ  (Click!)  でもご紹介したように、鉄骨柱は既存基礎をコア抜きしたうえで、アンカー打ち、溶接、モルタル充填して固定しています。控え柱 (頬杖) もこれまでの基礎を利用して、 「鉄骨製」 で設えなおしました。

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木製に比べて、間違いなくメンテナンス性には優れるものの、果たしてアルミ製の板材が外観上 「浮いて」 しまわないか、正直なところやや心配であったのですが、結果的には上の写真のように、門扉上部の屋根組み (杉無垢材にオイルステインを塗ったもの) と比較しても違和感なく納まり、ホッとするのと同時に、材料の進化とはまさに日進月歩なのだなあと、感心しています。


そして、加えてこの結果は、アルミ製で行こうと背中を押してくださったクライアント様と、製品選定の際、できるだけ木製無垢材の質感に近い、細かい凹凸を持つ製品を提案してくださった建材商社さんに依るところが非常に大きかったことを、本文の最後に申し添えておきます (ありがとうございました) 。

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先日、店内入口のラック (棚) に置かせてもらっている弊社パンフレットの補充に、今井書店さんへお邪魔した際に偶然平積みと 「目が合って」 しまいました(^^; で、その後、帯の 「 『ブラタモリ』 が好きなら絶対に楽しめる!!」 とのお誘いに誘われるがままに手に取ってレジに向かい、その日の晩から読み進めて昨晩読み終えました。 


(相当に) ざっくり言えば、 「江戸時代」 が出来上がってゆく過程を、社会インフラに焦点を当てて描かれた小説で、具体的には、第1話から第5話までの5つのエピソードに、江戸の、


治水
貨幣統一
上水道整備
城郭整備
天守閣建築


それぞれの事業がどのようにおこなわれ、完成していったのか、その試行錯誤と創意工夫と智謀知略が記されているのですが、日本史に明るくなく、東京への土地勘をほぼ持たない私でさえ、読み始めてすぐに本の中に引き込まれた理由は、登場人物がすべて実在の人々であり、それぞれのエピソードの舞台が、


利根川
日銀本店  
神田上水
皇居 


として現存しているという、いわばノンフィクション効果というか説得力、にもあるのでしょうが、そのほか、ついうっかりすると 「ずっと昔からあって、未来永劫その存在を疑わなくともよい」 と、捉えがちにもなる首都東京も実は 「何もない寒村」 からひとつずつ積み上げていった結果、であることの途方もなさ、と、その途方も無さの裏側でしか確かめることのできない、人の意思や良識や工夫や知恵の力を肯定できる手応えへの喜び、あるいは第2話で、のちに慶長小判を造る事となる橋本庄三郎が言った 「この世の誰もがまだ見ぬ風景、それを見たい」 と思い願うこころへの淡い共感など、いろいろとあるようです。


ブラタモリの他、 「プロジェクトX」 が好きだった方にもおススメで、第155回直木賞受賞作です。